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ネオ共産主義論 (光文社新書)

ネオ共産主義論 (光文社新書)

結局「ネオ」が何なのか分からなかった。一般的に共産主義のイメージはこれこれだけど(たとえばエティエンヌ・カベー)、マルクスはそんなこと言ってないよ、という事項を多方面から切り込んで説明していて勉強になる。ユートピア思想とマルクスを弁別するよう何度も繰り返している。キーワードは

「ところがどっこい」(3)

だと思います。ただ、文学方面に口出ししておけば、ハックスレーやオーウェルの描く「ユートピア」がそもそも「規律と正義が支配する理想郷」(92)かどうかは微妙。ユートピアという言葉にはディストピアが包含されているのだろうか。