ABC

  • 吾輩は頭痛である。症状はこれだけである。いつから発症したかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でガンガン頭痛がしていた事だけは記憶している。吾輩はここで頭痛というものに苛まれている。しかも聞くとそれは過労という人間中で一番獰悪な病気であったそうだ。この過労というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。しかしその数日前は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ仕事の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。生活のなかで少し落ちついて症状を確認見たのが休日出勤帰宅直後の今であろう。
    • 頭の中の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった。
      • 今夜、俺がなにか気掛かりな仮眠から眼をさますと、自分が寝床の中で一個の巨大な頭痛から回復しているのを発見した。良かった。