ABC

  • 『英語青年』7月号特集「文学史の現在と未来」。富山論文と佐藤論文がともに冒頭で同じ話を引っ張ってきている。思い出話オンパレード。みんな似たような話ばかりしやがってと思うなかで、ブッカー賞について書いた吉田論文に目がとまるのだが、ほとんど文学賞受賞作の紹介に費やしており、そして最後の最後で富山マンセーで終わって、なんだかなーな特集でありました。特集構成を富山で始まり富山への言及で終わる円環で閉じちゃっていいのか?「未来」なんて本当は考えていないんじゃないのかと思うよ。
    • とはいいつつ、1917年の『ケンブリッジ文学史』(The Cambridge History of American Literature<この存在すら初めて知った)に「英語以外の言語で書かれたもの」という章があったという事実を佐藤論文で知った。ドイツ語、フランス語、ユダヤ語、さらに先住民文学などがフォローされていたらしい。驚くべき早さである。原著を手にしてみたい。
    • 笹田論文は黒人文学とキャノン論争を考えるうえで、人種をめぐる本質主義の問題は欠かせないと説く。戦略的本質主義も使いようだし、キャノンをただ並列したところで問題はなんら解決しないのだと。

一週間グローバルな生政治的ストライキを行えば、どんな戦争もやめさせることができるはずだ。(下:248)

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