ABC

「教養モノ」2連発。時代的につながっているので、まとめて読んで正解だった。もちろん反応してしまうのは「文学」と「教養」をめぐる議論の箇所。文学部生(人文系)は経済資本が一番少ないわりに読書購入費が一番高く、その差に「教養の修養」というひどく政治的な意味合いの強いワードが滑り込んできた(大意)、という竹内の説明に自嘲的に苦笑い(ただ最後の最後で「やっぱり教養だよね」に回帰してぶっ飛んだ)。高田は「非実用的」なゆえに人文学問が大学(帝大)の外に追い出されつつ、だからこそ「大学の外で」人文系の読書をすることが「教養」になっていたという歴史を詳らかにする。そしてそれは戦場の学徒にまでつながっていく。全体的に斎藤美奈子オーラが出ている。次はその斎藤美奈子が解説を書いている『文学部をめぐる病い』へ。
グロテスクな教養 (ちくま新書(539))教養主義の没落―変わりゆくエリート学生文化 (中公新書)