ABC

  • 『アマゾン』&『本屋』

訳あり読書。アマゾンは帯を捨てて配送してもいいとか(!)、日通といかに結託したかとか、中の人の自給は850円だとか、アルバイトは二ヶ月に1回契約を更新しないといけないだとか、顧客一人あたりの単価は3000円だとか、潜入取材したからこそ明らかになったアマゾンの実態におののく。かたや『本屋さんの仕事』は、アマゾン戦争によって街の書店がどのような変化をとげてきているのかを店員らが語っている。アマゾンと同じ土俵で戦わずにどうやったら本が売れるのか、それぞれ面白い経営方針を開陳している。個性のある本屋事業に邁進しているようだ。両者を読むと、置いてけぼり状態なのは超大型チェーン書店であることが伝わってくる。
アマゾン・ドット・コムの光と影本屋さんの仕事 太陽レクチャー・ブック005

  • 『証言の心理学』

心理学てゆうか言説分析に近い。調書もじっくり読み解けば、どこに嘘が介在しているとか、どこで記憶の変容が起こっているとか、多少なりとも明らかにすることができて、その分析結果を法廷で利用できないかね?と奮闘している。尋問者の質問の仕方によって供述が変化してしまうというくだりに背筋が凍る。全体を通じて取られている、記憶の語りには亀裂が痕跡として残っていてそこを丹念に見つめる作業が必要なのだ、というスタンスはまさに文学研究が本領発揮する地点ではないだろうか。
証言の心理学―記憶を信じる、記憶を疑う (中公新書)